皆さん、こんにちは。
もうすぐ節分ですね。ギャラリーにもこんな作品があります。
六兵衛窯作 お福 置物
福々しいお顔、体型、そして金色の着物が眩しく、見るからに「福」がやってきそうな置物です。
ところで、皆さんはなぜ、節分とお福さんが関係あるのかご存知ですか?
諸説ありますが、こんなお話が伝わっています。
『昔、むかし何日も雨が降らず、お百姓さんたちが困っていました。
そんな時、三人の娘を持ったお百姓がいて、ある夜、その家に鬼がやってきました。
鬼は、もし娘を一人嫁にくれたら雨が降らせてやってもいい、と言うのです。
お百姓さんは困りましたが、とうとう承諾してしまいました。
父親は三人の娘たちにその話をしました。上の二人はいやだといいましたが、三人目の娘は「私が行きましょう」と言いました。
その娘の名はお福といいました。
そして‥次の日から三日三晩雨が降り続きました。そして、とうとう鬼がやってきました。
家族はお福を渡すのはいやだったのですが、約束してしまったので仕方ありません。
鬼はお福を背負って行ってしまいました!
お福は母親からもらった菜種を背負われながら少しずつこぼして行きました。
遠い遠い山奥の鬼の家に着きました。
鬼と二人の生活が始まりました。
鬼は朝になるとどこかへ出かけて夜になると帰ってきます。
鬼は意外と親切で着物や食べ物を運んできてくれました。
でもお福は誰とも話せずとても寂しい日々を送っていました。
ある時、お福が外を見ていると黄色いものが見えました。
それは鬼に背負われてきたときに撒いてきた菜種の種が芽を出して花が咲いたのでした。
これに沿って行くと家に帰れるはず、とお福は早速その菜種に沿って家へと駆け出しました。
一日かかってやっと家に着きました。
家族の者はお福が帰ってきてとても喜びましたが、鬼がきっと取り返しにくるに違いない、と考えお福を押し入れに隠しました。
鬼はすぐにやってきて「お福を返せ、嫁を返せ」と怒鳴りました。
お母さんが炒った豆を持って出てきて、鬼に「この豆を蒔いて目が出たらお福を返します」と言いました。
鬼は「本当だな」と言って帰っていきました。
鬼は次の年の同じころ、やって来て「お福を返せ」と怒鳴りました。
父親が「豆の芽が出たか?」と言いました。鬼は「出てない‥」と言ってしょんぼりと帰っていきました。
それから毎年、鬼はやってきましたが、父親はその度に「鬼は外、福は内」と言って豆を鬼に投げ付けました。
炒った豆から芽も出るはずもなく鬼はそのたびにしょんぼりと帰っていきました。
それから毎年、同じ頃、鬼がやって来て、豆を投げ付けるようになったそうです』
‥それが「節分」のいわれのお話だそうです。
この話を聞いたとき、私はなんだか、鬼が可哀そうになってしまいました。
豆から芽が出ないという理由でしょんぼり引き下がるのも可笑しいです。
意外と親切な鬼だったのに‥。でもお福さんもそんな山奥で寂しく暮らすのはいやですよね。
そして一番活躍したのはお福さんですが、その陰にお母さんの知恵があったことも見逃せません。
このお話に教訓があるとしたら「鬼」という災いにも(お母さんのような)知恵と(お福さんのような)勇気を持って立ち向かえば「福と成す」ということかもしれません。
さて‥もうすぐ節分。「鬼は外!福は内!」と豆を撒いて鬼を追い出し、福を呼び込みましょう♪