9つの壁?

皆さん、こんにちは。

さて、タイトルの9つの壁とはー

 

ギャラリー洛中洛外がオープンして今年22年になります。

?外観.jpgこの建物は数寄屋建築を多く手がける設計士の先生・二村和幸さんに作って頂いた建物なのです。

その中でも壁は大変こだわりのある部分。

ブログをはじめて4年たちますが、この壁のご紹介がまだだったことに気づきました。

そこで今日からその9つの壁を一つずつご紹介していこうと思ってます。

 

 

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これはギャラリーがオープンして翌年に発行された建築雑誌(※1993年発行 (株)デルファイ研究所 Architecture Magazine at「数寄屋 九つの壁の冒険と茶室移築の試み」以下※)ですが、そこでギャラリーが9つの壁を持つ数寄屋建築だと紹介されています。

そこでは二村先生の文章による9つの壁の詳しい内容やどのように壁を作り上げていったかの経緯や二村先生と左官の卯田さんの対談などが載っている大変貴重な資料です。これからこの資料をもとに壁をご紹介していきたいと思います。

この表紙の写真も実はギャラリーの壁の一つなのです。

 

ギャラリー内の壁は先ほども言いましたが、卯田さんという左官の方が手掛けられました。

この卯田さんという方はその当時、御所や桂離宮も手掛けられることのできる数少ない技術を持った左官の方でした。

二村先生がこの雑誌でこう言っておられます。「今度の仕事は、桂離宮の笑意軒とか、御所のパラリの壁とか、京錆壁など、現在残っている技術を多くの人に見てもらおうという意味をもっているわけです。つまり、ここにくれば、みんなどういうものか見ることができる、と。」(※より抜粋)

ギャラリーが建った当時は建築の仕事や勉強をされている方が多く来られたものでしたが、今でも壁などを見に来られます。22年経った今はますます希少なものとなっていることと思います。

皆さんにもギャラリーに来られたらぜひ、この壁を見てもらいたいです。

 

では、その一つめ。

 

9壁?.JPGギャラリーの東玄関口。のれんをくぐって中に入ると

 

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床の間がお出迎え。この床の間のまわりの壁・天井が1つめの壁。

 

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ここは壁の下地に塗るような荒壁の味を出そうとしたところ。

かつ洗練されたものにするために割れを細かくしているそうです。

そしてここはその「割れ」がテーマでどこまでそれをあやつることができるかといういことを目指したそうです。

 

ギャラリーの壁をどう塗ったらよいか考えるために卯田さんは、二村先生の事務所に同じような壁を作って何度も色んな実験を行って割れの大きさや密度によって材料をどのくらい配合したらよいかなどを研究されたそうです。

すごいこだわり!ですね。

 

 

この1つめの「深草土大藁入り割肌仕上」は石灰入下塗りを施した上から2回土壁を塗っています。深草土、すさ、砂、水、接着剤が入っています。

藁とすさを多く入れるため、大変塗りにくかったそうです。

しかしこの洞床の内部(香炉が置いてある空間の壁)は思い通りの仕事が出来たようです。

まわりが丸く割れが入っているのに対し洞床の内部は横一方向に跡が残っています。

ここは左から右へ一方向にだけ鏝(こて)を引いたそうです。

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卯田さんも「全く思っていたとおりの線がでました」、そして「もう一ぺんやれといわれてもなかなかできないことなのです」とも。(※より抜粋)

卯田さんの腕はもちろんですが、その時に湿気なども関係して上手くいくかどうかはその時の運次第みたいなところもあるんでしょうね。

この雑誌で二村先生が「まさしく壁は生きている」とおっしゃっている部分があるのですが、この壁を見ているとその言葉が実感として伝わってきます。

22年経っても、いえ経ったからこそ伝わってくるのかもしれません。

 

お客様をお迎えする第1の壁、玄関は割れの入った表情豊かな暖かい雰囲気の壁でした。

 

さて、次回は第2の壁です。お楽しみに?。

 

 

 

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