皆さん、こんにちは。
先日、ギャラリー洛中洛外のHPの「作家インタビュー」のコーナーに掲載するための工房訪問に同行してきました。
作家さんは木村宜正さんです。
宜正さんの工房は京都の北、岩倉の木野という所にあります。
緑が多く静かでいい所です。
工房内でインタビューに答える宜正さん。
宜正さんは1968年にここ、京都岩倉に生を受けられました。
お父様は陶芸家の木村盛伸さんで、お兄様も陶芸家の木村展之さんです。 木村展之さんはギャラリーでもおなじみの作家さんです。
ご自宅も仕事場も一緒だったそうで、小さいころから遊びといえば、土を捏ねて色んなものを作っていたそうです。
陶芸には自然に親しみ、将来は陶芸家になるということも自然な流れだったそうです。
小学3年頃に作ったという陶器のお面を見せていただきました。
すごく迫力がありますね。
指跡も残っており、宜正さんが楽しそうにこれを作っておられる様子が伝わってくるようです。
以前にこの作家インタビューでも取り上げた竹村繁男さんはお父様の木村盛伸さんのお弟子さんだったので、宜正さんは小さい頃から竹村さんに土の捏ね方や菊練りなどを教えてもらっておられたそうです。
小学生くらいからそんなことをされていたなんてびっくりしました。
そして高校を卒業されてからろくろの学校(京都府立陶工高等技術専門学校)に入り、一年間勉強してすぐお父様の工房で作陶の道に入られました。
ろくろの学校へ行ってから釉薬の学校(京都市立工業試験場)に行く人も多いのですが、宜正さんは成形が一番好きで早く陶芸の道に入り、実際に作りたかったそうです。
成形が一番好きだというお話を聞いてなんだかすごく意外な気がしました。宜正さんの作品といえば釉薬の幅がとても広いイメージがあります。
なので釉薬の色を作りだすことが一番お好きなのかと思っていたのですが‥。
もちろん、実際に作品を作るようになってからは釉薬の質感や色目も重要な要素だと実感し、釉薬に対しても色々と研究を始められました。
釉薬の色目について気をつけていることはパッと見てきれいに見える色、そして派手すぎないように、個性がきつく出ないようになどを考えて作っているそう。
宜正さん作 盃・ぐい呑
(左前から)黒燿天目・紅彩天目・瑠璃天目(左後ろから)油滴天目・朝鮮唐津
ギャラリーにある宜正さんの盃とぐい呑を集めてみました。
5色それぞれに色に深みがあり、美しい存在感のある作品です。
それから、奥にある作業場も見せていただきました。
ここがロクロをひいたり、成形したりするところ。
お父様の盛伸さんも作業されるところです。
お二人で並んで作業されることもあるのでしょうか。
ここから色んな作品が生み出されるのですね。
窯も見せて頂きました。これが普段使っている電気窯。今は素焼きの段階です。
上の方には登り窯がありました。これはお隣の作家さんの窯だったそうです。その方は河井寛次郎さんのお弟子さんだったとか。
現在は使われてませんが一時期はお父様の盛伸さんも一緒に焼いておられたそうです。
今でも雨の日の後などはこの窯から陶片が流れてきて拾ってみると思いもかけない素晴らしい色合いのものもあり勉強になるそうです。
その陶片も見せてもらいました。素敵な色合いのものでした。
こんなところからもインスピレーションを感じて作陶に生かしておられるのですね。
最後に‥これから挑戦していきたいものをお聞きしました。
やはり一番好きな形作りを追及すること。
以前にも作ったそうですが、また薪窯で焼く作品に挑戦してみたいそうです。
その時作った壺。
普段見ている宜正さんの作品とは全く違う風合いで、すごく味がある作品でした。
精製していない土を使っているのでポツポツと荒い土のつぶが見えます。
釉薬も掛けないので、土の表情、形がそのままストレートに出るので面白いとのこと。
私ももっと宜正さんのこのような作品を見てみたい気がしました。
釉薬については新しい色をどんどん出していくというより、「見直し」の時期が来ていると感じているそうです。数多くの仕事を長年やってきていると流れ作業的な感じになってきてしまうのでこの辺で一旦立ち止まり、見直していかないといけないと思っているとのこと。
一つ一つ見直していくことによってもっと深く豊かにしていきたい。
「形」への挑戦と「釉薬」を深く充実させていくという宜正さんの作品はまた新しい展開を見せてもらえそうですね。
これからどんな作品に出会えるかとても楽しみです。
工房に伺って宜正さんの作陶に対する思いなどをお聞きし、また仕事場などを見せて頂き、とても興味深かったです。
宜正さん、ありがとうございました。
このインタビュー記事はギャラリー洛中洛外の「作家インタビュー」のコーナーでアップされます。
されたらお知らせしますね。お楽しみに♪
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