こんにちは。このところ、梅雨らしい天気が続いています。雨もまた、木々や花がみずみずしく見えていいものですね。
昨日は、そんな雨の中、楽美術館に行ってきました。楽美術館は450年続く楽家の楽焼の作品を見ることができる美術館です。美術館の隣は、楽家のお住まいと窯場です。場所は京都市上京区、京都御所の西、油小路通りという通りに面しています。
楽家の始まりは長次郎という陶工。装飾瓦を作っていたといわれています。かの千利休が茶盌を注文したことから始まったそうです。それから当代、楽吉左衛門さんまで15代続く名家です。
楽美術館には一昨年、「親子で見る楽茶碗観賞会」という催しに子どもと参加させてもらったときにも行きました。当代の楽吉左衛門さんが自ら、楽焼について、色々とお話して下さったり、窯場で使う道具を見せて下さったり、実際に楽焼の土を使って手びねりをさせてもらったりして、小学生の子どもから大人まで楽しめるように気さくに接して下さった姿が印象的でした。でも、その中にもやはり楽家を背負ってものづくりをされている気迫のようなものを感じました。
楽美術館は、1階と2階があって、長次郎から常慶、道入(ノンコウ)‥と続く代々の茶盌や香合や鉢などが展示されています。展示室は落ち着いた雰囲気で、集中して見ることができます。代々の作品もそれぞれに素晴らしいものでしたが、私が今回一番心惹かれた作品は田中宗慶の「いさらい」という銘の茶盌です。
田中宗慶という人は、長次郎とともに楽家をささえた人です。そして楽家の血脈上の祖先でもあります。初代長次郎とどういう関係かというと、長次郎の妻の祖父です。二代常慶の父にあたります。長次郎の没後は、宗慶が中心となって長次郎の窯を運営しました。(楽吉左衛門著『楽ってなんだろう』を参考にさせて頂きました)
さて、その「いさらい」―。その名の意味は名水の井戸の名前だそうです。どんな茶盌かというと、黒楽なんですが、小振りでちょうど手におさまるぐらいの大きさ。黒楽もつやつやした黒とマットな黒があるんですが、そのマットな黒。中はほんのりとした何色といったらいいのか、茶色のようなえんじのような、中で火をぼうっとともしたらこんな色になる、というような色なんです。