前回、河井寛次郎のことを書きましたが、そこからもう少し広げて書きたいと思います。
寛次郎の「物買ってくる、自分買ってくる」という言葉が印象的だと書きましたが、なるほど、このこともそういうことだったんだ、と思ったことがありました。以前、ギャラリーで木村展之さんの個展があったとき、ずっと気になる作品がありました。
それは「茶入れ」でした。その色、なんともいえない丸い曲線に心惹かれてしまったのです。見れば見るほど離れがたく思ってきたので購入させて頂きました。
そして、今玄関に置いています。立派な象牙のふたがついているのですが(ごめんなさい)、ふたを開けて置いています。
出かけるとき、外から帰ってきたとき、いつも見ます。見るたびにいまだに「いいなあ」と思います。そして、一日が終わり帰ってきたときに見ると、その丸い口もとが「何でも丸くおさまるよ」と言ってくれているような(笑わないでくださいね)そんな気がして癒されます。
どこかで、玄関に丸いものを置くといいと聞いたことがあり、それを聞いてからますますいい感じに思うようになってきました。
時々季節が変わって、季節感を出そうとかぶとの置物を置いたりします。
そして、またもとに戻ってこの茶入れを置くとなんだかおさまるべきものがおさまったという感じがして、ほっとします。
「物」というより、自分の心を慰めてくれる大切な存在になってきました。
作り手の木村さんが陶芸にかける思いが作品を通して、伝わってきているのかもしれません。
そして、先ほどの寛次郎の言葉を私なりに解釈すれば「物を買ってくるということは自分の心をより安らかに、元気にするという行為のひとつ」なんだと実感しました。
また、次の個展の時どんな作品と出会えるか‥ここは仕事場でもあるのですが、また作品との出会いの場でもあることを嬉しく思っています。そして、皆さんにとってもそういう場であることを願っています。
ご紹介ありがとうございます。
お店の方が買って戴くというのは
作り手としてうれしいことで
感謝申し上げます。
コメントありがとうございます。
この茶入れを眺めると気持ちが落ち着きます。
また、このような作品に出会えることを楽しみにしています。